マーケットイン2023.11.8 株式会社クリエイティブアローズ 乳井 俊文

皆さん、こんにちは。SHIPアソシエイトパートナー、株式会社クリイエティブアローズの乳井です。
ここ数年、多く語られる言葉に「マーケットイン」があります。マーケットインとは、顧客のニーズにフォーカスしてビジネスを展開する取り組みのことです。一方で、何でもかんでもマーケットインで語られる傾向に疑問を感じています。そこで今回はこの事について触れてみたいと思います。

緻密なユーザー分析からはじめるマーケットイン

事業やブランド開発時に、どこに重きを置くか?はじめに、市場の徹底したニーズ/ウォンツ分析や、リサーチやインタビュー、アンケートを通じて市場理解を深める事が重要です。そのうえで、実際にニーズがありそうな商品やサービスを開発し、社会実装する。あらゆる視点で市場を分析するプロセスを踏むことから、結果として他社製品との差別化にもつながりやすく、モノやサービスであふれる社会においては重要な考え方の一つといえます。

自分たちの理想を貫くプロダクトアウト

一方でプロダクトアウトは、自分たちの志が主体にあります。純粋に開発したいもの・世の中に広めたいビジョンを基準として、商品やサービスを開発し、ビジネスとして展開する取り組みです。自分たちの考え方や取り組みを社会へプレゼンテーションする感覚に近く、より大きなビジョンを描き、ユーザーの共感獲得と腹落ちが重要となります。

どちらが成功に近いのか?

結論、その答えはどちら側にもあり得ます。なぜならば、どちらも成功しますし、失敗もするからです。本テーマを取り上げた理由は、「マーケットイン」という言葉だけがバズワード化しており、何でもかんでもマーケットインで取り組むべきという専門家やコンサルタントの声が多すぎると考えるからです。マーケットインで考えなければ成功しない、という誤解と間違いが生まれる危険性があると考えています。

例えば、アップルはどうでしょう? MAC/iPhone/iPad/apple watch等はプロダクトアウトで生み出された商品です。他にも、ダイソンの掃除機やSONYのwalkmanも同様です。

一方で、P&Gはどうでしょうか?世界一のマーケティング企業として名高い同社ですが、数多くの消費財ブランドは緻密な市場分析から生み出されています。その他、洗剤や飲料・食品ブランドもその多くはマーケットインのアプローチから生み出されています。

イノベーションの源泉

世の中に大きなインパクトを齎す革新的なアイデアは、とある人物が考える理想から始まることが殆どです。多くの人々にどういうサービスや商品が欲しいか、今何に困っていてどうしたいのか?を聞いて生み出されるものではありません。主体は生み出す側のビジョンであり、理想そのものなのです。一方で大きなリスクも背負うことになります。万が一売れなければ事業そのものが存続の危機に瀕するからです。一方でマーケットインのアプローチでは、飽和した市場のなかでいかに差異性を放ち、ユーザーのニーズやウォンツに応えていけるか、という部分が重要なテーマです。売れる商品を生み出す事が目的であり、イノベーションを起こし社会をアップデートする事が目的にはなり得ません。

重要な視点

マーケットインも、プロダクトアウトも、どちらも必要な取り組みであり、企業のマーケティング戦略で生み出される成果をより確実に積み上げたいという事であれば、双方取り組んでみるべきだと考えています。また、プロダクトアウトだからと言って市場分析や顧客調査を実施しないことはありません。実は商品やサービスを開発する際のコスト構造の捉え方に重要なポイントがあると考えています。

値決めの難しさ

マーケットイン、プロダクトアウト、どちらにせよ商品やサービスの開発時には開発費や製造コストがかかってきます。危険なのは、企業が投資する費用がほぼ開発と製造コストのみとなってしまうケースであり、ブランディング費用やマーケティング戦略費用が後付けになってしまうパターンです。地方にいくとよく耳にする話ですが、例えばおみやげ品の開発があるとします。関心の多くが商品の中身ばかりに向き、パッケージやデザインが後付けになってしまう話を良く耳にします。さらには、誰にどう売るかも考えられていない商品がほとんどです。この場合、マーケットインでもプロダクトアウトでも無い、作り手の独りよがりの産物でしかないと言われても仕方がありません。

当然ながら売れる商品の開発を目指しているはずです。例えば、成功するために積み上げなければならないロジックがあり、その完成度を限りなく100%に近づける事が売れる確率を最大化した状態だとします。商品の中身ばかりを見るという事は、開発予算の中にデザインやマーケティング戦略のコストが含まれていない事を意味します。つまり、どんなに良いものを生み出しても70%程度のロジックしかない事を意味します。これではまとまった予算を割いて開発をしたとしても、結果が伴わない確率が上がってしまいます。

開発初期にコンセプトやテーマ開発、ブランド開発、商品開発、販売戦略、広報活動、全てを繋いだストーリーで予算を算出し、製造原価を割りだす必要があります。そのうえで、予算が収まらなかったり、販売価格ががあきらかに高くなってしまい魅力が損なわれる、という事であればパートナーとの取引形態を相談する必要も出てきます。レベニューシェアやインセンティブフィー等を導入し、初期コストを抑える取り組みです。妥協せずに目指したい商品やサービスを開発する方法論は数多く存在するはずなのです。

成功の秘訣は、心の底から信頼できるパートナーシップ

皆さんが新たに商品やサービスを開発し事業の拡大を目論むとき、そこには優秀なパートナーが必要不可欠です。商品やサービス開発でマンネリや停滞感を感じられている方は是非SHIPの鈴木先生までご相談ください。

理想が現実になるのかもしれません。

株式会社クリイエティブアローズ
https://www.creative-arrows.co.jp

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