持続可能性2024.12.5 株式会社クリエイティブアローズ 乳井 俊文

皆さん、こんにちは。SHIPアソシエイトパートナー、株式会社クリエイティブアローズの乳井です。
SDGs、ESG、そしてCSV―これらは現代のビジネスリーダーにとって避けては通れない重要なテーマだと考えています。今回はこれらの概念がどのように連携し、中小企業の戦略にどのように組み込むことができるかを探求したいと思います。

 

|SDGs:持続可能な開発目標|
 
SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)は、2015年に国連サミットで採択された、2030年までの国際社会全体で目指すべき17の目標です。これらの目標は、地球上の誰もが排除されることなく、平和で豊かな生活を送れるように設計されています。各目標は具体的なターゲットを持ち、それらを達成するための指針を提供しています。ここでは、これら17の目標を一つ一つ見ていきましょう。

1.貧困をなくそう
世界中の極度の貧困を撲滅することが目標です。すべての人が最低限の生活基準を満たすように支援します。

2.飢餓をゼロに
すべての人々が十分な食糧にアクセスできるようにし、持続可能な農業を推進します。

3.健康と福祉をすべての人に
すべての年齢層の人々の健康を確保し、疾病の予防と治療に向けた取り組みを強化します。

4.質の高い教育をみんなに
包括的かつ公平な質の高い教育を保障し、すべての人々の生涯学習の機会を促進します。

5.ジェンダー平等を実現しよう
性別に関わらず、すべての女性と男性が社会的、経済的、政治的な分野で平等な機会を持てるようにします。

6.安全な水とトイレを世界中に
すべての人に安全で手頃な飲料水と衛生設備を提供します。

7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
すべての人に手頃で信頼性が高く、持続可能かつ現代的なエネルギーへのアクセスを保証します。

8.働きがいも経済成長も
持続可能な経済成長とフル雇用、そしてすべての人々にとっての良質な仕事を促進します。

9.産業と技術革新の基盤をつくろう
耐久性があり持続可能なインフラを構築し、革新的な産業化を促進します。

10.人や国の不平等をなくそう
国内外での不平等を減少させ、平等な機会を促進します。

11.住み続けられるまちづくりを
包括的で安全、強靭(レジリエント)かつ持続可能な都市と人間居住地を実現します。

12.つくる責任 つかう責任
持続可能な消費と生産のパターンを確立します。

13.気候変動に具体的な対策を
気候変動とその影響への緊急対策を講じます。

14.海の豊かさを守ろう
持続可能な方法で海洋資源を保全および持続可能に利用します。

15.陸の豊かさも守ろう
陸上の生態系を保護し、森林を復元し、砂漠化の防止と土地の劣化と生物多様性の損失の停止を図ります。

16.平和と公正をすべての人に
平和的で包摂的な社会を促進し、すべての人に正義へのアクセスを提供し、効果的な説明責任のある透明な制度を構築します。

17.パートナーシップで目標を達成しよう
持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化します。

これらの目標は、地球規模での協力と持続可能な発展を推進するために設計されており、政府、企業、市民社会が協力して取り組む必要があります。各国がこれらの目標に沿って政策を推進し、企業もまたこれに対応する戦略を立てることが求められています。

 

|ESG(Environmental, Social, and Governance)|
 
ESGは、企業が持続可能で倫理的な経営を行うために重視される三つの主要な領域を指します。これらは、企業の投資家、ステークホルダー、さらには消費者の間で注目を集め、企業評価の重要な基準となっています。ここでは、ESGの各要素について詳しく解説します。

1.環境(Environmental)
環境に関する要素では、企業が自然環境への影響をどのように管理し、削減しているかが評価されます。具体的な取り組みとしては以下のようなものが含まれます。

2.温室効果ガス排出の削減:エネルギー効率の向上、再生可能エネルギーへの投資、低炭素技術の導入。
資源の持続可能な利用:水資源の管理、廃棄物のリサイクル、持続可能な原材料の使用。
環境保全活動:生物多様性の保護、環境保全プロジェクトへの参加や支援。

3.社会(Social)
社会的要素は、企業が従業員、顧客、地域社会とどのように関わっているかに焦点を当てます。主な評価ポイントは以下の通りです。
・労働条件:公正な雇用慣行、労働安全衛生、適切な報酬と福利厚生。
・人権の尊重:人権侵害の防止、サプライチェーンにおける公正な取引条件の確保。
・地域社会との関係:地域社会への貢献、社会的課題への対応、文化的な支援。
・企業統治(Governance)

企業統治は、企業がどのように運営され、管理されているかに注目し、以下のような側面を評価します。
・透明性と公正性:透明な意思決定プロセス、適切な情報開示、株主との公正な取引。
・リスク管理:経営リスクの適切な管理、倫理的な問題への対応策、コンプライアンス体制の整備。
・取締役会の構成と役割:取締役会の多様性と独立性、効果的な監督機能の実施。

ESGの重要性
ESG基準に注目が集まる理由は、単に倫理的な理由だけではありません。ESGに積極的な企業は、リスクの低減、投資家からの信頼獲得、より良い財務パフォーマンスといった実利を享受しています。また、消費者の間でも持続可能な製品やサービスへの関心が高まっており、これらを提供する企業は市場での競争優位を確立しやすくなっています。

さらに、規制当局や政府機関からの圧力も増加しており、環境規制の厳格化、社会的責任の強化、透明な企業統治への要求が高まっています。これに対応するため、多くの企業がESG戦略を策定し、実行に移しています。

これらの理由から、現代のビジネス環境ではESGが中核的な要素となり、企業の長期的な成功と持続可能性に直結する重要なテーマとして位置付けられています。

 

|CSV:共有価値の創造|
 
CSV(Creating Shared Value)は、企業が経済的な成功を追求すると同時に、社会的な問題を解決することで社会全体に価値を提供するビジネス戦略です。このアプローチは、マイケル・ポーターとマーク・クレイマーによって2011年に提唱され、企業が社会的な利益と経済的な利益の両方を追求する方法として広く認識されています。

CSVの基本的な原則
CSVは、企業活動と社会的問題が交差する点を見つけ出し、そこに焦点を当てることで、企業と社会の双方に利益をもたらす解決策を生み出すことを目指します。以下は、CSVを実践する上での基本的な原則です。

【社会的ニーズの同定と対応】
企業は、社会的な課題やニーズを特定し、それらに対する革新的な解決策を提供することで、新たな市場を開拓し収益を生み出す機会を探求します。

【経済的価値と社会的価値の同時生成】
単に企業の収益を増やすことだけを目的とせず、社会的な問題の解決を通じて本質的なビジネス価値を創造します。これにより、企業は持続可能な成長を達成することができます。

【イノベーションと効率の促進】
社会的課題への取り組みを通じて、企業は新しい技術やプロセスの開発を促進し、効率化を図ることができます。

 

|CSVの実践例|
 
(健康とウェルネス)
食品業界の企業が、栄養価の高い健康的な製品を開発することで、公衆衛生の改善に貢献し、同時に新しい顧客層を獲得する。

(持続可能な供給チェーン)
製造業や小売業の企業が、持続可能な素材の調達やエコフレンドリーな製品の製造を行い、環境保護に貢献しながら、環境意識の高い消費者からの支持を得る。

(教育とスキル開発)
企業が地域社会で教育プログラムや職業訓練を提供し、労働力の質を向上させることで、より良い人材を確保し、地域経済の発展に寄与する。

 

CSVのビジネスへの影響
 
CSVを取り入れることで、企業は新しい市場を切り開き、ブランド価値を向上させ、規制リスクを減少させることができます。また、社会的な課題に対する企業の取り組みは、顧客や投資家からの信頼を深め、長期的な競争力を確保する上で重要な要素となります。この戦略は、企業が社会的責任を果たすことと商業的成功を同時に追求することを可能にし、持続可能な発展への道を築きます。

 

|中小企業におけるSDGs、ESG、CSVの統合|
 
中小企業は、これらの概念をビジネス戦略に組み込むことで、イノベーションの機会を見出し、市場での差別化を図ることができます。例えば、持続可能な材料を使用した製品開発、地域社会とのパートナーシップによるイベントの企画、社員の福利厚生の向上など、多角的にアプローチを行うことが可能です。

実践的ヒント
①目標の設定:SDGsのどの目標が自社のビジネスと直接関連しているかを特定し、具体的な行動計画を策定。
②ステークホルダーとの対話:顧客、供給者、地域社会との対話を通じて、ESG基準に沿った取り組みを強化。
③コミュニケーションは、企業視点からの一方通行にならない様に、ユーザーが共感できるテーマに変換する。
④報告と透明性:ESG活動に関する定期的な報告を行い、透明性を高めることで信頼性を構築。
⑤パートナーシップの構築:地域社会や他のビジネスとの連携を深め、CSVを通じた共有価値の創造を目指します。

持続可能なビジネスモデルへの移行は、単なるトレンドではなく、企業の長期的な成功を左右する重要な要素です。また企業と社会が共通価値のもとに繋がるストーリーの源でもあります。社内外に向けたブランディングにも寄与するでしょう。皆さんがこのブログを読んで、事業に対する新たな視点を持ち、行動に移す勇気が湧いてくることを願っています。そして、私たちクリエイティブアローズも、皆さんのサスティナブルな取り組みを全力で支援いたします。

株式会社クリエイティブアローズ
代表取締役 乳井 俊文

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