リレー2025.3.12 株式会社クリエイティブアローズ 乳井 俊文

皆さん、こんにちは。SHIPアソシエイトパートナー、株式会社クリエイティブアローズの乳井です。
東京はすっかり春の気配を感じる季節になりました。今年の桜の開花日予想は3/21だそうです。東京の開花日が全国の都市の中でも早い理由は寒暖差が大きいという理由だそうです。桜と言えば、出会いや別れ、新しい事が始まる季節の印象が強いですね。私たちは常に新しい目標に向かって進んでいますが、その歩みを支えているのは何よりも「人」です。どんなに素晴らしい戦略や技術があっても、それを動かすのは組織の中にいる人間であり、組織のメンバーが円滑にコミュニケーションを取ることができなければ、組織は機能しません。

今回は、組織内のコミュニケーションにおける「見えない壁」と、それをどう乗り越えるかについて考えていきたいと思います。

世代間ギャップが生む情報の断絶

企業の組織には、ベテラン社員と若手社員が共存しています。これは非常に価値のあることですが、世代間の認識のズレが情報の流れを停滞させてしまうこともあります。

例えば、シニア層の管理職(40~50代)が「この業務、前と同じやり方で進めておいて」と指示を出したとします。ベテラン同士であれば、これで十分に通じるかもしれません。しかし、若手社員(20代)は「前と同じ」と言われても、その「前」がいつのことなのか、どの方法なのかを知らないため、適切に行動できないことがよくあります。

結果として、若手社員は「何を求められているのか分からない」と感じ、モチベーションを失います。また、質問しようにも「こんなことを聞いたら怒られるかもしれない」「自分の理解力が低いと思われるのではないか」と不安になり、相談しづらくなるのです。

リテラシーの違いが生む誤解

さらに、世代間のリテラシーの違いも大きな障害になります。

例えば、デジタルツールを活用する世代と、紙や対面でのコミュニケーションを重視する世代では、情報の伝達方法が根本的に異なります。シニア層の上司が「会議で話した通りに進めておいて」と言っても、若手は「会議の内容はどこにまとめられていますか?」、「議事録はありますか?」と感じることがあるでしょう。一方、若手がチャットツールやオンラインドキュメントで指示を受けることに慣れている場合、「口頭で言われただけでは忘れてしまうし、確認しづらい」とストレスを感じることもあります。

また、コミュニケーションの「常識」も変化しています。例えば、メールの件名や文面の書き方一つをとっても、シニア層と若手の間で大きな認識の違いがあることがあります。こうした小さなギャップが積み重なることで、誤解や摩擦が生じ、結果的に組織内の空気が悪くなってしまうのです。

指示の曖昧さが若手を迷わせる

特に問題になるのが、シニア層から若手への指示が曖昧すぎるケースです。

「適当にやっておいて」
「前回と同じ感じでお願い」
「何とかいい感じにまとめておいて」

このような指示を受けた若手社員は、どうすればいいのか分からず困惑します。「適当」とはどの程度なのか?「前回」とはどの時点のことなのか?「いい感じ」とは何を指しているのか?

指示が曖昧だと、若手は試行錯誤しながら進めるしかありません。しかし、それが期待と違った場合、「なんでこんなことになったんだ!」と怒られてしまうことも。これでは、若手は委縮し、主体的に動けなくなってしまいます。

結果として、みんな不幸になる

・若手社員は「何を求められているのか分からない」と感じ、モチベーションが低下する。
・シニア層は「なぜ言った通りにやらないんだ」と苛立ちを募らせる。
・組織全体の空気が悪くなり、心理的安全性が失われる。

本来、会社は夢や希望にあふれ、「皆を幸せにしたい」と願って作られたはずです。しかし、コミュニケーションがうまくいかないだけで、全員が不幸になってしまうのは本末転倒ではないでしょうか。

コミュニケーションは個人のスキルではなく、仕組みの問題

ここで重要なのは、コミュニケーションの問題を「個人の能力の問題」として捉えないことです。

「若手がもっと積極的に質問すればいい」
「シニアがもう少し柔軟になればいい」

こうした考え方では根本的な解決にはなりません。なぜなら、問題は個々の能力ではなく、「組織としての仕組み」にあるからです。

みんなが幸せになれる組織をつくるために

では、どうすれば組織内のコミュニケーションを円滑にし、全員が幸せになれる組織を作れるのでしょうか。

|明確な指示の仕組みを作る|
 - 口頭だけでなく、文書やデジタルツールを活用する。
 - 指示内容を明確にし、具体的なゴールを示す。

|リテラシーの違いを理解し、橋渡しをする|
 - シニア層にはデジタルツールの活用をサポート。
 - 若手には対面や書面でのコミュニケーションの重要性を伝える。

|心理的安全性のある環境を作る|
 - 相談しやすい文化を醸成する。
 - 失敗を責めるのではなく、学びの機会とする。

組織のコミュニケーションは、人間関係を円滑にするだけでなく、企業の成長にも直結する重要な要素です。今一度、自社のコミュニケーションの仕組みを見直し、「みんなが幸せになれる組織づくり」に取り組んでいきましょう。コミュニケーションはバトンの受け渡しと同じです。ストレスなく一瞬で遂行したい、まるで陸上競技のリレーのように捉えると分かり易いと考えています。

株式会社クリエイティブアローズ
代表取締役 乳井 俊文

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