らしさ2023.3.7 株式会社クリエイティブアローズ 乳井 俊文
皆さん、こんにちは。SHIPアソシエイトパートナー、株式会社クリイエティブアローズの乳井です。
今回は最近私の周りにあった出来事をテーマにお伝えしたいと思います。
コンセプトがしっかりしていて、とてもお洒落で、カッコは良いが、失敗するパターン。
実は、最近弊社に数多く問い合わせのある中で、結構な割合を占めている事象です。恐らく、日本全国でこのような事象が量産されている可能性があります。
とても良く考えられていて、クリエイティブも突き抜けていて、一見失敗の要素が見当たらない。なのに失敗してしまう。一体何故こういった事になってしまうのか。私の最近の大きなプロジェクトの一つに、地方自治体のブランディング案件があります。そもそも何故こういう相談が私のところへ来たのか?というところに今テーマのヒントがありそうです。
事の発端は、現在進行中のブランディング案件から始まります。それは、某大手広告代理店が請け負っています。多くの予算を費やして、とてもコンセプチュアルに設計され、一見魅力的に展開されているように見えました。面白い仕事をするな!当時はそう思った記憶があります。立ち上げ時は良かったのだと思います。しかし、数年経過すると、ある事に気づきました。
「話題になっても、本市へ好影響がほぼ無い」
ブランディングの一環として商品を開発し販売しても、メディアに取り上げられ話題になっても、その恩恵が殆ど無いというのです。知り合いを通じて、市長から相談を受けた際に、正直愕然としました。何故か。とても重要なピースがそもそも欠けていたからです。
「コンセプト > 事業モデル」
そもそも広告やプロモーションの一環で実施され、事業開発経験者による事業モデル自体の検討が無かったのだろう、そう感じました。PRで話題は取れても、実利が無い、その理由はここにあると思います。
また、大きな落とし穴が他にもあります。
それは、「自分達らしさ」や「自分たちの強み・魅力」に拘り過ぎることです。そこが出発点の場合、業績右肩上がりの業界や業種はともかく、業績が横ばいや下降気味の業界や業種は新たな成長戦略を打ち出しづらくなります。そこであらためて検討したい事は、5年後・10年後どうなっていたいか、どうあるべきか、といった自分たちの姿を炙りだす事です。そして、そこからのバックキャスティングで、現在の時間軸まで戻ったとき、かなりの差異がある事に気づけるかどうか。
つまり、起死回生の新しい一手や、ゲームチェンジを促す際に、「自分達らしさ」や「自分たちの強み・魅力」といった事を捉える思考自体にエラーがあるのだと思います。そのエラーは先に述べたバックキャスティングから炙りだされる事が多いです。
また、事業開発時に、事業収益モデルの開発もそうですが、それだけでは到底足りません。その事業がもたらす社会的インパクトをどの範囲まで広げていくのか、どういう事業者と連携して、地域で一体感を出していき、話題量を増やし、文化的にそして地域経済にどう貢献していくのか、のストーリーメイクがとても重要です。それらを可視化して、はじめて新しい価値を一枚岩で創り上げていくプロジェクトとして機能するのだと思います。
誰もが美しいと言う事を、美しいと思ってしまうのは当然の事です。
しかし、その領域にいる限り、新しい価値を生み出す事は困難でしょう。
自分たちの「らしさ」を大事に、貫きたい。勿論大事です。
しかし、その先に明るい未来があるかどうかは別の話です。
その先に無いといち早く判断出来れば、「らしさ」を活かしつつ方向転換をする事が出来ます。
次の一手を打ちたいが、なかなか良いアイデアが生まれない、煮詰まってしまっている・・・。
そんな課題をお持ちの方は、是非SHIPの鈴木先生までご連絡ください。
株式会社クリイエティブアローズ
https://www.creative-arrows.co.jp