目的と手段のはなし2022.7.13 株式会社クリエイティブアローズ 乳井 俊文
皆さん、こんにちは。SHIPアソシエイトパートナー、株式会社クリイエティブアローズの乳井です。
今回は誰もが陥りがちな、ビジネスシーンでのあるあるをテーマにお伝えしたいと思います。それは、「目的」と「手段」が入れ替わってしまう問題。恐らく、皆さんも多くのシーンを目にしているかと思います。特に新しいプロジェクトを立ち上げて、複数メンバーで役割分担をして取り組む際によくあるエラーかと思います。そんなときに、皆さんはその事象にどうやって気づき、どの様な改善策を打ち出していきますか?
そもそも、「目的」とは何でしょうか?目的とは、最終的に到達したいゴールです。プロジェクトや事業を通じて、どのように社会へ貢献するのか、企業の存在意義そのものでもあります。では「手段」はどうでしょう?手段は、掲げた目的(ゴール)を達成するための手法です。では何故、これらが入れ替わってしまうのか?という話です。実は、目的を達成する道のりは常に時代に合わせてアップデートすることが求められます。また、短期的に達成されるものでは無く、中・長期におよぶため、都度軌道修正が必要になります。そこで「目標」という指標が登場します。この目標は、目的を達成するための中間的なゴールです。イメージはこんな感じです。
【目的】最終ゴール:事業やプロジェクトで達成したいこと
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【目標】中間ゴール:目的を達成するためにひつようなこと
↑
【手段】時代に合わせた手法:目標を達成するための具体的な活動
私の経験上、実は目的と手段が入れ替わっているのでは無く、目標と手段が交じり合ってしまい、ひたすらにその達成を目指すことが目的にすり替わり、没頭してしまう状態が多くあると感じています。
話が混乱してきそうなので、身近な事例に落とし込んで考えてみましょう。例えば、私たちのクリエイティブやブランディングの業界でのあるある。
設定:とある広告会社
【目的例】
クライアントの新規事業やブランドを魅力的に世に知らしめ、事業成長を支援することで豊かな社会創りに貢献すること
【目標例】
魅力的なコミュニケーションの開発と社会実装…
【手段例】
・コンセプト開発
・ストーリー開発
・デザイン開発…
となるはずが、手段である「デザイン開発」が一人歩きしてしまうパターン。初期段階では目標を見据えて走り出しますが、いつしか、デザインを創りあげることだけに注力してしまう。事業やブランドを魅力的に世に伝える事、そして理屈を生理で伝えること、それらがデザインに求められる機能なはずです。それがいつの間にか、テクニカルな領域に入り込んでしまい、例えば、印刷物であればそのギミックや、デザインという作品としての表現手法が優先されてしまう。もちろん、追求した結果、意図する方向へ人々を動かし、目標を達成するということであれば良いのですが、大体この方向にいってしまうと半ば自己満足のような世界へ潜り込んでしまいます。
例えば、新規事業を立ち上げる際に、事業を立ち上げることが目的になってしまうパターン。
例えば、新規受注をとるための、営業活動自体が目的になってしまうパターン。
例えば、魅力的な空間や時間を提供するはずが、料理作りそのものが目的になってしまうパターン。
沢山あると思います。ではこういった事象を、どう改善し、防いでいくのか?それは、プロジェクトチームの中での役割分担をしっかりと行う事が近道です。仮に1人で遂行する場合、私も含めてそうですが、殆どの方が上記に近い状態に陥るはずです。最低でも3名程度のチームで遂行することが良いと考えています。
【プロジェクトリーダー】
絶えず、目的に合致した道を進んでいるのか、また、実現出来そうな目標が設定されているか?
プロジェクト全体のストーリーをディレクション。
【サブリーダー】
目的に辿り着くための目標設定を主体に、ディレクションをしながら実務進行を担当。
【スタッフA】
目標を達成するためのアイデア開発&具現化担当
こんな考えでスタッフィングすることで、エラーが起きにくい環境となるはずです。また、定期的なプロジェクトミーティングについても、ミーティングを開催すること自体が目標になりがちです。そこで、進捗共有等のミーティングは15分程度で課題解決の場にする等の工夫が必要です。進捗の共有自体はチャットツール等で日々共有することで、不毛なミーティングの時間も短縮できます。誰しもが、悩まず、迷わず、面倒くささを感じない環境づくり。シンプルに目の前の仕事に没頭出来て前へ進める環境づくり。これこそが、目的と手段の入れ違えを防ぐ、もっとも簡単な方法だと考えています。是非お試しください。言うまでも無く、こういう社内取り組みを出来るか?も企業ブランディングの一環となります。
新規事業の開発や、ブランディングでお悩みの方は是非SHIPの鈴木先生までご相談ください。
株式会社クリイエティブアローズ
https://www.creative-arrows.co.jp