チーム2023.6.7 株式会社クリエイティブアローズ 乳井 俊文

皆さん、こんにちは。SHIPアソシエイトパートナー、株式会社クリイエティブアローズの乳井です。
今回は以前のブログ「地域創造」でご紹介した新ブランド「農家の刺客」を少しだけ掘り下げてお伝えしてみたいと思います。

本事業は、青森県つがる市発。青森県の中西部に位置する街で、主要産業は農業。人口3万人の小さな街は、農家の高齢化や後継者不足問題に直面していました。そんな状況下で始まったことは、以前のブログでお伝えしました。私たちが一番はじめに取り組んだ事は、同市の状況を徹底的に調べる事でした。また、他地域の取り組みや、出店エリアについての動向、同ジャンルの商品軸の状況も含めて包括的に調査・分析を行いました。

人口推移については、1985年以降一貫して減少を続けており、2022年時点で 15,885 人(34.4%)減少。地方都市での人口減少速度は都市部に比べてとても速いのが現実です。

産業構造については、第一次産業16.6%、第二次産業16.1%、第三次産業67.3%となっていることも特徴です。第一次産業のうち16.2%を農業が占めており、農業が本市の基幹産業である事が見えてきます。また、同市では第2次産業が乏しく、農業で生み出された農産物を加工し付加価値を生み出す事も困難な状況でした。

本事業の取り組みで、このような負のスパイラルを断ち切って、新たな成長ストーリーへの分岐点をどう埋め込むか、課題が見えてきました。

また、同様に他自治体が取り組む事例の調査に着手。そこで驚きの事実を知ることとなりました。ほとんどの取り組み、特にアンテナショップのように自治体をPRする事業は、事業ベースで赤字という事実でした。毎年予算を組んで運営費を捻出し、事業収益と合算して運営を維持する。事業といえども、その殆どが収益よりも広告換算値や他指標を重視し設計されているのが現実のようです。自治体は非営利組織です。収益をあげても、今の制度の中では入金の扱いが難しいという現実もあるようです。

どうすれば持続性の高い価値創造事業とする事が出来るのか?課題が見えてきました。

出店エリアについては、弊社独自のビッグデータ解析ツールで分析を開始。特に、出店場所である新宿マルイ本館の客層を入念に調査しました。そこで見えてきた事は、20~30代の女性が多く、アニメ等のサブカル好きが多いという事でした。

Z世代の女性向けに、どのようにアプローチするべきか、課題が見えてきました。
商品についても、同施設内に出店し競合となり得るテナントや、近隣施設のテナントを調査。商品の特徴や価格帯、独自の取り組みやブランドストーリー、販促施策等を中心に広く分析を行いました。実は、本事業では、出店場所の都合で「調理が出来ない」というマイナス要因がありました。

そのマイナス要因をどうやって穴埋めするか、課題が見えてきました。

上記はほんの一部ですが、代表的なものとしてお伝えしています。
これらの調査内容を分析し、つがる市の未来像からのバックキャスティングと、現状課題からのフォアキャスティングの両視点から事業ストーリーを検討していきます。ある程度ストーリーが形になった段階で、多様なメンバーが本格的に本事業に参戦することとなります。

・商品開発担当者
・データサイエンティスト
・コピーライター
・プランナー
・アートディレクター
・デザイナー
・空間デザイナー
・映像クリエイター
・デジタルマーケッター

社内外より多くのメンバーが参画します。
私の役割は、ビジネスモデルの開発と事業のプロデュース、そしてクリエイティブディレクションです。
このような流れと体制で新しいプロジェクトは動き出します。それぞれが専門分野の責任者として、当事者意識を持って取り組んでくれます。基本的に権限をそれぞれに譲渡する事も、このような取り組みではとても重要となります。

このような環境下で独創的なアイデアが生まれ、育ち、花が開きます。
社会的な課題から、事業ベースの課題、施策ベースの課題、それらをそれぞれが背負い、それぞれが最高のパフォーマンスを発揮する。最高のチームに恵まれた事に感謝する瞬間です。

どのように課題を見つめ、どうアプローチし、定義するかで見え方は変わります。
スタッフのプロジェクトへの没入感や思考の粒度が変わり、自分ゴトになります。
忙しい事が喜びに変わります。

新しい価値創造やイノベーションを生み出すヒントは、スタッフそれぞれが持つ可能性と、その乗算で生み出されるアイデアです。トップダウンでもボトムアップでも無い、絶妙なバランスでのチームワークが重要なのかも知れません。

株式会社クリイエティブアローズ
https://www.creative-arrows.co.jp

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