壁2023.8.30 株式会社クリエイティブアローズ 乳井 俊文
皆さん、こんにちは。SHIPアソシエイトパートナー、株式会社クリイエティブアローズの乳井です。
今まで私たちは多くの中小企業事業者とブランド開発に取り組むだけでは無く、伴走パートナーとして事業運営を支え、その成長を実現してきました。そんな立場から、今あらためて自分たちが考え実行していることを言語化し、書籍を出版する運びとなりました。テーマは「ブランドづくり」と「ブランディング」です。
出版の理由はいくつかありますが、
「中小企業の成長を本気で応援したい!」
が中核にあります。是非本気で事業を成長させたいと願う経営者をはじめ、その成長を支えるパートナーの皆さまや、ブランディングについて深く知りたい、と考える方々の一助になれたら幸いです。
そんな訳で、今回は書籍の一部をご紹介したいと思います。
モノや情報が飽和するなかで
ブランディングに失敗する経営者たち
多くの経営者は自社の商品やサービスを選んでもらい、売上を確保するためには自社のブランディングが必要だと考え、さまざまな施策を進めています。しかし、さまざまな媒体に広告を打ったり、ロゴやホームページを刷新したり、SNSで自社アピールをしたりと努力をしているのに、思ったような効果が出ず、ブランディングに失敗している経営者は少なくありません。
失敗してしまう背景には、ブランディングに対する根本的な誤解があると私は思います。理由の一つは、ブランディングとして打つ施策が単なる表面上の化粧直しにとどまっているからです。とにかくモノをつくれば売れる時代だった高度経済成長期から一転し、現代の世の中ではモノが飽和状態となり、同じような機能をもつ競合商品やサービスが市場に溢れています。消費者は購入前にホームページやECサイト、クチコミサイトなどネット上で情報を集め、見た目、価格、付加価値などを比較したうえでどれにするかを決めることが当たり前です。そのため、企業側は他社と比較検討されたうえで、私はこれが欲しいと自社製品に白羽の矢を立ててもらわなければならないのです。多少注目されるくらいでは競争に勝つことはできません。他社との差別化を図り、表面的ではなく本質的なブランディングに取り組まないと、モノやサービスは売れない時代になっているのです。
ブランドとブランディングという言葉を整理する
ブランディングが単なる広告表現の工夫やPR戦略に取って代わられてしまう原因は、ブランディングとはそもそも何かを正しく理解できていないからであると私は思います。ブランドとは個々の商品やサービスではなく、会社として何がしたいのかという思いであり、事業の土台です。会社名でもロゴマークでもありません。対してブランディングとは、ブランドや商品のイメージを世の中に定着させ、市場でのポジションを確立することです。広い意味では自社の事業ストーリーの全体像をつくりあげる取り組みのすべてを指します。会社として何をしたいのかを突き詰め、市場での自社の立ち位置や能力を冷静に分析し、解決すべき課題を念頭におきながら事業計画を練ります。そして、具体的な商品やサービスをつくり、市場とのコミュニケーションを通して事業を推進していくまでがブランディングです。制作物のデザインだけを取り上げてブランディングということはできません。
私はこのような広い意味のブランディングをブランド(事業ストーリー)の構築という意味で「ブランドづくり」と表現し、「ブランディング」は構築したブランドを具体的に実現する取り組み、と定義してこのあとの検討を進めたいと思います。
課題解決思考がつくる壁
とはいえ、現実的にはブランドづくりを進めることはなかなか困難です。経営者は商品やサービスの内容や納期、従業員の仕事ぶりについて日々目を配らなければならず、月末が近づけば資金繰りにも万全を期さなければなりません。当面の売上確保のため、日々山積していく課題の解決に没頭せざるを得ないのです。実際、どの経営者の頭のなかも解決すべき課題で埋め尽くされています。事業活動のあらゆる面について、問題点の洗い出しと解決策の立案、施策の選択と実行の最終的な決裁が求められている経営者は、そうした膨大な事象に対して重要度を判断し優先順位を付けて、解決に取り組まなければなりません。しかしこの課題解決にとらわれた考え方がブランド構築の発想にとっては大きな壁となります。目に見える課題は自覚することができ、どうすればよいかの方策も見つかるはずです。それらは想定範囲内の問題です。しかしブランド構築には想定を超えた大胆な発想が必要です。ブランドを見直し、改めてブランドをつくろうとするなら、現実の課題にとらわれず、思い切って原点に返るくらいの飛躍こそが必要なのです。
目先の諸問題を解決するだけでは
ブランディングにはつながらない
ブランディングを実現するためには外部の専門家の手を借りることが必要となってきます。しかしさまざまな広告制作会社の力を借りることが、逆に目先のもろもろの課題を解決すればブランディングにつながる、などといった誤解を生んでいるのです。
広告制作会社は、ブランディングをサポートしますとか、斬新さを売りにしたりしてしばしばアプローチしてくるものです。そもそも、こうしたさまざまな広告物の制作を本業とする会社は制作物が発注されて初めて売上が立つので制作物の提案・受注が活動の目標であるのです。顧客から、インパクトのある広告をつくりたいとか、Webでの集客に力を入れたいなどと言われたときに、待ったをかけて「なぜそれが必要なんですか?」と問い返したり、「今やることが重要でしょうか?」と疑問を投げてきたりするような会社は残念ながらあまり多くはありません。仮に内心で意味はあるのかなどと疑いが芽生えても、せっかくの受注を断ることはありません。確かに自社の売上を拡大することにつながるからです。最大規模の売上にしようと考えているだけであり、その枠を出ることがありません。つまり、顕在してきた課題を解決するという思考で双方が関わっている限り、新しいブランドも事業や企業の成長ストーリーもつくれないのです。
ブランドを再構築するなら、社長の思いにまでさかのぼってじっくりと事業内容を検討するところから始めましょう、などということをあえて語る広告制作会社はまれな存在です。時間ばかり費やすことになり、売上につながらないからです。目の前にある数多くの課題に囲まれ、売上が少しでも伸びればと、とりあえず課題解決に尽力してブランディングらしきものに手を染める、ということはよくあることです。しかし広告出稿や制作物の受注が欲しい広告代理店や制作会社があの手この手で提案し、言いなりで場当たり的に施策を実行してしまった結果、さして効果は上がらず、予算がなくなると同時に終了する……といった事態が繰り返されています。こうしたことをいくら積み重ねてもブランドはつくれないのです。
【こんな方に読んでいただきたい】
✔ 事業の維持や成長を真剣に考えて、策を模索している中小企業経営者
✔ クライアントの事業成長に真剣に取り組むパートナー
✔ ブランディングの本質を理解したい方
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https://www.amazon.co.jp/dp/4344947185
会計事務所と同様に、私たちのようなマーケティングやクリエイティブのパートナー選びもとても重要です。何故ならば、パートナー次第で企業の業績が大きく変わる可能性があるからです。
企業の業績は様々な外部要因の影響を受けます。そしてその外部要因は複雑さを増しています。しかし、一つだけ明確な外部要因があります。それは「人口」です。今まで穏やかに推移してきた人口減少も地方を中心に加速する事は明白な事実です。その様な時代に、どのように自社の魅力を打ち出し、雇用し、生み出し、業績を維持・成長させていくのか。避けて通れる道は存在しません。
今を恐れず正しく理解し、一歩一歩前に進んでいきましょう。
株式会社クリイエティブアローズ
https://www.creative-arrows.co.jp