覚醒2023.9.27 株式会社クリエイティブアローズ 乳井 俊文

皆さん、こんにちは。SHIPアソシエイトパートナー、株式会社クリイエティブアローズの乳井です。
「中小企業の成長を本気で応援したい!」という想いで書籍を出版し2回に渡って内容の一部をご紹介してきました。今回は最終回として、「ブランディングに取り組んでから始まること」について、少しだけご紹介したいと思います。

是非本気で事業を成長させたいと願う経営者をはじめ、その成長を支えるパートナーの皆さまや、ブランディングについて深く知りたい、と考える方々の一助になれたら幸いです。

ブランドづくりが人に自信をつける

新たにブランドを打ち立て、ブランディングをしながら育てていくという一連の取り組みは、自分の会社などのあらゆる組織や個人が、なぜ、なんのために、いかなる事業を展開するのかということを内外に明らかにすることです。それは自社が事業活動のなかで提供している個々の商品やサービスについて、その機能や特徴を語ることではありません。それらのすべてに貫かれている精神やパーソナリティを言語化し可視化して五感を通して伝えていく作業です。

事業そのものは「理屈」でできています。売上と利益を上げながら活動を継続していくための戦略と論理と数値です。背後にある「思い」は見えません。しかし、だからといって事業をただ数値で見えてくる結果に一喜一憂して推進するだけなら、経営者も従業員も仕事のなかで満足を得ることはできません。業績は自分ではコントロールできない外部要因によって必ず浮き沈みがあります。数字だけを見ている限り心を落ち着かせることはできません。しかも売上の変動で経営者が悩んでいたり、事業そのものの継続に後ろ向きになっていたりすれば、その空気は従業員に伝わり、生産性の低下や離職者を生むことにもつながりかねません。そもそも現在の事業がなんのためのものだったか、その〝WHY〟が経営者にも従業員にも見えなくなってしまうのです。

しかしブランドづくりやブランディングは、改めて事業の意味や価値に目を向けることにつながります。私が経営者に伴走してブランドづくりを進めながら最も感じることは、経営者が元気を取り戻すということです。そもそも自分がなぜこの事業を始めたのか、例えば先代から受け継いだときにどんな事業にしていこうと思ったのかを改めて振り返ることになります。私自身が聞き手になって、時間を掛けて経営者としてのいちばん底にある、普段は言葉にされていない部分を引き出していきます。

こういう状況のなかで、こういう思いで事業に取り組んできたのですね、この商品やサービスをつくって提供し、どこまでできましたか、これからはどうしますか、というように整理して問いかけていくことによって、経営者は改めて自分の事業の根底にあるものと向き合うことができます。経営者を深く知り、かつ第三者的な立場で事業の将来をともに展望するようなパートナーでなければ、機微に触れる話はできません。私は、経営者からブランディングがしたいと声を掛けられるたびに、広告物をどうするか、ロゴデザインをどうするかと考えるのではなく、ともに将来を考えるパートナーとして、経営者自身の思いを引き出し共有できる人間でなければならないと考えてきました。そういう存在が少な過ぎるのです。
もちろん時間が掛かることですが、こうした議論を積み重ねることによって経営者は日々の業務のなかで見失いかけていた自分の夢や事業への思い、商品・サービスの開発姿勢などについて改めて認識することができます。その結果、業績として見えている数字は別にしても、自分の取り組みに価値はあった、これまで苦労してやってきたことは間違いではなかった、これからも成長していける、という自信をもつことができます。このような自信をもった段階に至ることで初めて、目標が見え、新たにバックキャスティングも始めることができるのです。

ブランディングが原動力になり、
従業員も元気になっていく

経営者が元気になり、改めて将来の姿に向かって自信をもって歩き出せば、その感情や雰囲気は周囲に伝わります。「社長この頃元気だね」「すごく気持ちのこもった言葉が出るよね」「この事業、面白くなりそうだ」……従業員にも空気が伝播し浸透して、強い組織になっていきます。

「インナーブランディングですね」と言う人もいるかもしれませんが、インナーブランディングもアウターブランディングも本質は変わりません。自分たちが展開しようとしている事業ストーリーがどれほど価値のあることなのか、地域や社会をどう変えていくことができるのかを世の中の人の心に届くような表現に工夫を凝らし、あらゆるコミュニケーションツールを使って可視化し、共感を得ていくというのがブランドづくりでありブランディングという行為です。その中心にいるのがブランドストーリーの担い手としての人です。新たなブランドは地域や社会の未来のためにという明確なメッセージをもって会社が展開していくものであり、直接何かを担当したかしないかではなく、他部門や管理部門の従業員もブランドストーリーをつくっていく一人です。ブランドは従業員そのものということもできるのです。

新たなブランドの構築と社内への浸透は、従業員のモチベーションを高めることにつながり、それは既存事業にも好影響が出ます。従業員一人ひとりのモチベーションの高さが業務の生産性を高め利益の拡大に寄与するということについては定量的なデータも得られています(モチベーションエンジニアリング研究所と慶應義塾大学大学院岩本研究室の共同研究「エンゲージメントと企業実績に関する研究」)。
新たなブランドの開発は、魅力ある事業の推進と同時に、従業員の結束を強め、会社全体としての業績の拡大につながります。加えて従業員の新たな前向きな姿勢をブランディングのなかに吸収していくことができるように、企画のなかに余白を残して従業員を巻き込んでいく工夫も重要になります。新たなブランド展開に関する事業企画や制作物のすべてを1から10までつくり込んでしまうのではなく、従業員が新たな発展の方向性を積極的に考えて提案したり、制作物について独自のアイデアを出したりするなど、拡張していける余白を確保しておくことが、ブランドが自らの力で発展していく原動力になります。

【こんな方に読んでいただきたい】
✔ 事業の維持や成長を真剣に考えて、策を模索している中小企業経営者
✔ クライアントの事業成長に真剣に取り組むパートナー
✔ ブランディングの本質を理解したい方

amazonサイト
https://www.amazon.co.jp/dp/4344947185

企業ブランディングという取り組みは、経営者自らが先頭に立つ必要があると私は考えています。自社の可能性、それは創業時の経営者の想いであり、そこで働く人々の想いであり、それらがシンクロして新たな成長ストーリーが見えるくるのだと思います。

人 < 企業 < 地域 < 社会

の順にその影響度は増し、自身の達成感や帰属欲求の満足度も高まります。企業という器を超えて、その先にある社会を従業員と共有する。そんな大きなビジョンが中小企業だからこそ必要だと私は思っています。是非参考にしていただければと思います。

株式会社クリイエティブアローズ
https://www.creative-arrows.co.jp

関連するBLOG

ContactContact弊社へのご質問・お問い合わせはこちらから