不器用な経営者2024.2.21 税理士法人SHIP 鈴木 克欣

皆さん、こんにちは。
税理士法人SHIP代表の鈴木です。

「スタッフが辞めたいと言ってきた・・」
「また、スタッフが辞めると仲間に相談してるらしい・・」

SHIPのクライアントで月次決算を実施していると、毎月こんな話題が出てきます。

経営者にとってはドキッとする言葉ですよね。
会計事務所業界でも、インボイスや電帳法が始まり、“人材離れ”が加速しているとも聞きます。

では、SHIPはどうか?

SHIPは、もともとは毎年数人が退職するような会計事務所でした。
「退職願」をもって、僕のところに来るスタッフが定期的にいました。

いまは、ほとんど辞めていません。

SHIPのクライアントにはいつも伝えていますが、「人が辞めない組織」は正解ではありません。

それぞれのスタッフにとって、それぞれの人生があります。
新たな挑戦や人生の分岐点において、退職を選択したのであれば組織として後押ししてあげることも必要だと思うからです。

退職者がゼロだから、その組織が素晴らしいのではなく、人生を考えることができる組織が素晴らしいのだと思います。

もちろん、僕個人としては辞めてほしくないです。
ずっと一緒に働けたらいいな・・・と思います。

本人の人生は本人が決断します。
その決断をいつ言われてもいいように、心の準備だけはしています。

これが経営者としての本音です。

わかりますか?
僕自身の考え方が、上記にように変わってからスタッフは辞めなくなったんです。

「これだけ給与を支払ってるんだから、これだけの仕事をしてもらわないと困る」
「家族の事情で休むなんて、昔だったら考えられない」
「すごく忙しいんだ。いまは有給を与えるわけにはいかない」

もしかしたら、現場で上記のような言葉が飛び交っていませんか?
言葉に出さないまでも、心では思ってしまってますか?
心で思うだけで相手に伝わっちゃうから、不思議ですよね?

そうです。以前の僕が考えていたことです。
自分でも自覚していますが、完全に考え方が変わったんだと思います。

すべて、こちら側からの考えでした。
上記のような発言は・・・
・経営者から見えている景色
・経営者の脳で考えた思考
・経営者の価値観からの判断

・・・から生まれるものばかりです。

以前、「視座」について書きましたが、スタッフの目線、スタッフの思考、スタッフの価値観に置き換えた時、まったく違う言葉に変化します。

「家族との時間を大切にしたい。給与は今よりも減ってもいいので、有給が取りやすい環境を望みます。」
「生活を考えるともう少し収入が必要です。どうすれば私の給与は上がりますか?」
「もっと勉強したいです。勉強の時間を確保したいので、残業の少ない組織になるために考えてみます」

過去に、SHIPスタッフから言われた言葉です。
スタッフ側の視座にまわり、彼らや彼女たちのフィルターからSHIPという組織を見ると、全く違う景色がそこにはありました。

そして、今ではスタッフの人生を考える癖がついています。
組織という箱の中で、人と出会い、自分自身が成長し、家族を持ち、人生が豊かになっていく。
・家族のために働く
・組織のために成長する
・顧客のために仲間と助け合う
・人生を豊かにするために学ぶ

それらを実現するために、組織はどうあるべきか?
組織や仕事は人生においての通過点であり、選択肢のひとつである。
決してピラミッドの一番上に存在するものではありません。

スタッフの人生を考えたからと言って、素晴らしい助言ができるわけでもありません。
僕は、そんなに出来た人間ではない。

ただ、スタッフの話を聞いて、彼らの人生をともに考えることはできる。
ただ、スタッフの話を聞いて、より良い組織に変えていくことはできる。
ただ、スタッフの給与をどうすれば上げることができるか、1日中考えることはできる。

不器用な経営者であり、不器用な組織だからこそ、そこに“伸び代”があると思いますし、組織は必ず今よりも良くなると考えています。

◆次回のSHIPカレッジは3月18日です・・・・・
第9回『金融機関との付き合い方』
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