金融機関との付き合い方2024.3.7 税理士法人SHIP 鈴木 克欣
「いま、銀行からどれだけ借りられるだろうか?」
「毎月の返済額が厳しい。どうすれば返済を減らせるだろうか?」
「キャッシュが増えてきたので、銀行にまとめて返済してもいいだろうか?」
などなど、金融機関との付き合い方については、多くの企業が悩んでいます。
現在、コロナ融資の返済が多くの企業の負担になっており、倒産や廃業を選択する企業も増えているのが、現状だと思います。
そして、金融機関自体も変革を迫られており、これから数年で企業と金融機関のあり方も大きく変わっていく可能性があります。
今までこうだったから・・・という過去の手法が変わっていくということです。
さて、企業は銀行からどれだけの借入が可能なのでしょうか?
一般的に言われるのが、売上の3ヶ月分が目安となります。
1ヶ月の平均売上が500万円であれば、1,500万円までの融資が可能となります。
まずは、計算してみてください。
今の借入残高は、売上の何ヶ月分になっているでしょうか?
上記の「借入金対月商倍率」(借入金÷毎月の売上高)をいつも把握していくことで、借入の枠に余裕があるのかどうか、判断が可能となります。
そして、どんな企業でも、上記の3ヶ月分の枠が実現されるわけではないんです。
例えば、赤字決算が続いている企業は難しいでしょう。
赤字の状態は、入金よりも支出が上回っているため、返済原資を確保することが難しく、金融機関からの信頼度は下がることになります。
このような企業は、借入金月商倍率に余裕があったとしても、融資を受けることは困難になります。
・・・ということは、黒字が続いている企業はどうでしょうか?
売上の3ヶ月分以上の借入が可能となるということです。
黒字決算を続けていくということは、金融機関からの信頼を得るということにつながります。
利益を実現しながら、借入金対月商倍率をコントロールするという視点をもつことで、これまでの金融機関との付き合い方も変わっていくはずです。
「無借金経営を目指せばいいんでしょうか?」
・・・こういう質問に対して、僕の回答は「NO」です。
無借金経営には、メリットもデメリットもあります。
僕の見解としては、金融機関との信頼関係を築き、なるべく多くのキャッシュを保有していくことを推奨しています。
やはり、企業はキャッシュなんです。
借入金を返済して、手持ちのキャッシュを減らすよりも、借入金をコントロールしながら、キャッシュの最大化を目指したほうが今の時代背景には合っていると言えるでしょう。
僕が想像している「これからの金融機関との付き合い方」はこんな感じです。
1 試算表などの会計データがリアルタイムでbixidに共有される。
2 各金融機関の担当者は、いつでもbixidに訪問することが可能で、必要な現状データを入手できる。
3 これからの未来に向けた経営計画は毎月作成されているので、計画を見れば企業の未来も共有することができる。
4 金融機関は現在の資産を担保に融資するのではなく、将来の事業を担保に融資を実現できる。
1年間の実績が確定する「決算書」もとても需要です。
50万円から100万円ほどの赤字であれば、1円でも利益が出る決算書になるように工夫してみてください。
金融機関から見たら、赤字決算か黒字決算かは大きく変わります。
金融機関との関係を良好に継続するためにも、どうすれば信頼される企業になれるか?
・・とちゃんと考えながら、決算をコーディネートしていく準備が求められます。
金融機関も多くの企業と同様、時代に合った組織に変わろうとしています。
税理士や会計事務所も毎月の試算表を作成したり、申告書を作成すればOKという状況ではありません。
もし、上記のような金融機関対策に「対応できない」と顧問税理士に言われたのであれば、
早急に新たな顧問税理士を探すか、対応可能な税理士にセカンドオピニオンへの依頼をオススメします。
「今までがこうだったから」ではなく、「これからどうしていくか」を一緒に考えることができるブレーン(会計事務所と金融機関)と付き合っていただきたい。
どんなブレーンと付き合うかによって、企業の未来は必ず変わるはずです。
次回のSHIPカレッジは、「金融機関との付き合い方」です。
ぜひ、ご参加ください。
SHIPカレッジ申込みはこちらから
https://www.ship-ac.jp/seminar/1165.html