語彙力2024.3.13 株式会社クリエイティブアローズ 乳井 俊文
皆さん、こんにちは。SHIPアソシエイトパートナー、株式会社クリイエティブアローズの乳井です。
今回は、企業ブランディングの現場から私が感じたことを少しだけお伝えしたいと思います。事業が成長軌道にあり、社員数が増え、事業数も増え、組織が複雑化していくなかで、成功されている経営者には一定の共通点がありました。
言葉の力
ずばり、核心です。言葉の力を生み出すためには言語化能力が高くなければなりません。そこから生み出された言葉やメッセージは、まずは相手の心に響く必要があります。そしてさらに相手の行動をも変えてしまう力を秘めている必要があります。きっと殆どの経営者の方は、頭の中でイメージは出来ていることでしょう。しかし、その頭の中にあるイメージを言葉に変換し、さらに言葉をデザインする事が出来る方は少数では無いでしょうか。もしかすると、このブログをお読みの方の中に「実は言語化が苦手」という方がいらっしゃるかも知れません。そこで、簡単なフレームワークをお伝えしたいと思います。
WHY?
「ゴールデンサークル理論」と呼ばれるフレームワークがあります。WHY→HOW→WHATの順で想いを伝えることで、共感を生むことができるというものです。Simon Sinek氏が2009年のTEDにて提唱された理論で、Appleをはじめとしたイノベーションを起こす企業が共通して持つ特徴として紹介されました。
人が物事を説明する時には「何を(What)」「どのように(How)」「なぜ(Why)」の順番で語られるのが一般的です。普段の会話の中でも、「何をしているか」の説明をすることは多くあっても「なぜそれをしているか」について話すことは少ないのではないでしょうか。これはあくまでも一般的な説明の順番です。企業を率いる経営者は多くの共感を獲得する必要があります。どうすれば良いのでしょうか?
「なぜ(Why)」
↓
「どのように(How)」
↓
「何を(What)」
と逆にするだけで良いのです。TEDの中で、Simon Sinek氏はこのゴールデンサークル理論は生物学的にも理にかなっていると話しています。人間の脳は大きく2層構造になっています。外側に論理的・分析的思考を担当する「大脳新皮質」。内側に感情と行動を担当する「大脳辺縁系」が存在します。ここで重要なポイントは、人間の「行動」を決定するのが後者の「大脳辺縁系」であるという点です。そう、感情を動かすためには「Why:何故このプロジェクトなのか」のストーリーを真っ先に届けることが必要なのです。そうする事で、その取り組みの具体(How/What)の意味性が深まり行動に繋がるという訳です。
文章力
私は文章力とはストーリーメイク力だと思っています。どんなに複雑な内容でも、何故か相手にシンプルに伝わり、腹落ちしてしまう文章。一方で、複雑な内容がそのまま伝達されてしまい、良く分からない、何かスッキリしないものを残してしまう文章。私が普段からクリエイティブの開発やプランニングの開発初期で考えていることは以下のパターンです。とてもシンプルです。
マクロ → ミクロ
伝えたい要素をマクロからミクロでレイヤーに分ける事が大事です。上流から下流へ、空から地面へ、森から林、そして一本の樹木へ。そのような考え方で文章を作成されると、1本のブレの無い、シンプルで分かり易いストーリーになります。一定の法則がありますので、悩む必要もありませんし、読む側の人間にとっても読みやすい文章になるはずです。
それとは逆にこの法則が万が一にも無い場合。最悪です。全体の話をしたかと思えば、小さい点の話になったり、そしてまた全体の別な話になったり、いわゆる支離滅裂で何を言いたいのかが全く伝わらない、複雑怪奇な文章になってしまいます。心当たりのある方は是非取り組んでみてください。
言葉が原点
事業の始まりも成長も衰退も、言葉がはじまりだと思っています。創業期は勢いをそのままにビジョンで内外を引きつけ引っ張っていく。成長期はその勢いに確かな存在意義とスマートさを身に纏う。衰退期は創業期以上に次のビジョンを示し素早く転換する。経営者が何かを大きく変えようとする時、そこには強くて輝く言葉が必要です。事業に成功している経営者が共通して持つスキルだと感じています。
最後に
私たちが様々な企業課題の解決や、新たな展望をクリエイティブの力で支える時にまっさきに行うことは分析です。そしてその分析結果から課題感や仮説を生み出しコンセプトやテーマを開発していきます。その場面で、最も注力することは「言語化」です。言葉に出来ないものは形にする事が出来ず、全てが感覚のなかで動き、実施後の検証すら出来ないことを意味します。
皆さんの企業は、経営者の言葉をしっかりデザインして伝えていますか?
ご興味のある方が是非SHIP鈴木先生までお問い合わせください。
SHIPお問い合わせ先
https://www.ship-ac.jp/contact
株式会社クリエイティブアローズ
代表取締役 乳井 俊文