こんにちは、小川です。もうすぐ高校野球の地方予選が始まりますね。今年も熱い夏がまもなく到来ということでとても楽しみです。

さて、中小企業の経営者の方からタイトルのような質問を受けることがあります。経営者であれば自社にどれだけ売上があればいいのかは当然把握したいですよね。
こういった時に使われる考え方に「損益分岐点売上高」がありますが、私はほとんど損益分岐点売上高を使いません。損益分岐点売上高はあくまで収支トントンレベルの売上高。言い換えれば赤字にならないラインですよね。これが会社にとって必要な売上高でいいという企業はかなり少ないと思います。
収支トントンでお金が回っていく企業は少ないですからね、多くの企業は大なり小なり借入金を抱えていてこれを返済していかなくてはならないからです。借入金の返済分は損益分岐点売上高には組み込まれていないので、収支トントンでは返済できない、損益分岐点売上高相当の売上高ではキャッシュフローは少なくとも返済分だけ赤字ということになります。そこでこの返済分を加味した「返済可能売上高」がその企業が最低限確保しなければならない売上高ということになります。

では、どうやって算出するのか。
変動損益の考え方で算出できます。変動損益では以下の様に経常利益を算出します(なお、考え方を簡略化するために減価償却費については考慮しません)。

売上高―変動費=限界利益
限界利益―固定費=経常利益
損益分岐点売上高はこの経常利益がゼロになる売上高です。

ちなみに、
【変動費】売上の増減によって変動する費用⇒極論すると売上がゼロなら発生しない費用 例えば材料費や外注費など
【固定費】売上の増減によらずに発生する費用⇒極論すると売上がゼロでも発生する費用 例えば人件費や賃借料など
です。

そこで、
変動費70,000千円、固定費30,000千円、返済額6,000千円の企業があるとすると、
損益分岐点売上高は、
変動費70,000千円+固定費30,000千円=100,000千円
となります。

この場合変動費率70%、限界利益率30%です。

返済可能売上高は、
固定費30,000千円+返済額6,000千円=36,000千円←必要限界利益額
36,000千円÷限界利益率30%=120,000千円
となります。

更には、返済しても6,000千円をお金が残るようにしたいとすると、
固定費30,000千円+返済額6,000千円+6,000千円=42,000千円
42,000千円÷限界利益率30%=140,000千円
となります。

100,000千円と120,000千円と140,000千円では大きな違いですね。それぞれの売上高を達成しようと思ったら、達成するための行動が違ってきます。
仮にどう考えても140,000千円も売上を作るのは難しいとすると、出る方を削るしかない。

そこで、上記の例で限界利益率35%、固定費25,000千円が可能だとすると
固定費25,000千円+返済額6,000千円+6,000千円=37,000千円
37,000千円÷限界利益率35%≒105,000千円
となります。
出る方を削ることが可能なのであれば、105,000千円の売上で返済しても6,000千円のお金を残せるかもしれないということになります。

以上のことから、私は損益分岐点売上高をあまり使いません。それを伝えたところで、その企業に必要な売上高となるようなケースはレアだからです。そのため、その企業の実態に合わせて必要売上高をお伝えするようにしています。場合によっては売上高ではなく粗利額(≒限界利益)でお伝えすることもあります。100社あれば100通りの必要売上高が存在するわけで、その企業の実態に即した数値でなければ意味がありません。
これからもその企業にとって意味のあるもの=経営に役立つデータ提供で、中小企業の経営に少しでも貢献できればと思います。